東京高等裁判所 昭和38年(ラ)413号 決定
一、本件抗告の理由の要旨は、東京地方裁判所の裁判官は、同庁昭和三八年(ワ)第四、四五四号不当労働行為に則る雇傭及解約の無効確認請求事件につき、同事件の訴状に記載された請求の趣旨及び原因が明確を欠き、且つ右欠缺に対する補正命令に対し提出された準備書面の記載によつても右欠缺は補正されないとして、民事訴訟法第二二八条第二項に則り、命令により右訴状を却下し、右訴状及び右準備書面の各記載を総合すれば請求の趣旨及び原因は明確であるから、右訴状を却下した原命令の取消を求めるというにある。
二、案ずるに、前記訴状並びに準備書面の記載によれば、請求の趣旨は「帝石テルナイト株式会社の社歴(企業歴)の確認を求める。当事者間昭和三四年七月に於ける不法労働契約に基く雇傭及び解約の無効確認を求める」というのであつて、これによれば、審判を求める事項及びその範囲そのものは一応確定されておりその請求を他より識別することが可能であるから、結局前記訴状は請求の趣旨及び原因の各記載を形式上具備するものといわなければならない。
右のような確認の請求が訴訟要件を具備するか否か、或は理由があるか否かの判断は裁判所の判決事項であつて、裁判官の訴状審査権には属しないから、裁判官はこのような要件を具備すると否とを問わず形式上適式な訴状はこれを受理しなければならない。
以上の次第で、前記訴状を却下した原命令は不当であるからこれを取消すべきものとする。
(小沢 仁分 池田)